シロッパチのひょうたん記(3話)

母の思い出(その2)

ボクが母の姿を見かけなくなってから、もう一年以上がたちマシタ。
その時のことを今もハッキリと覚えてイマス。
あんなに元気で、ボク達の面倒を見てくれた母の体調が次第に悪くなり、
やがて乳も出なくなったンデス。
そして、ボク達に何も告げずに突然姿を消しチャッタンデス。



後から聞いた話ですが、母はペンションの勝手口へと向かったノデス。
たどり着くなり倒れこみ、呼吸は荒々しく、
まったく動くことができない状態だったようデス。
それを見た旦那さんと女将さんは
『 これは重症だ!!すぐに病院に連れて行こう!! 』
そう言って、車に乗せて八丈動物病院へといったノデス。

しかし、もうすでに手遅れで、手の施せる状態ではなかったようデス。
何も知らないボク達は逝ってしまった母を必死で探し続けマシタ。
不安と飢えに耐えながら数日後、
気がついたときにはペンションの床下に潜り込んでいたノデス。
そして、ボク達がいることに気づいた女将さんがそっとゴハンを置いてくれたンデス。

    

今、安心して暮らしているボクに旦那さんは、こう言うノデス。
「あの時、母親がペンションに来たのはお前たちのことを、
これからよろしくお願いします、と頼みに来たのだ。
最後の力を振り絞り俺たちの前に現れたその姿を見たとき、第六感でそう感じたんだ。
あんなに気丈で勇敢でしかも優しいネコは見たことも聞いたこともない。」

そして、こんなことマデモ
「それに比べてオマエは、食べることと、イタズラをすることしか能がない。
ペンションが忙しくて、猫の手も借りたい、
そんな時にも何の役にも立たないではないか。
少しぐらいは手助けすることを考えろ!!」

‥‥とこんな調子ナノダ

でもボクは気にしない。ガツガツ食べて、女将さんの目を盗んで
いたずら、イタズラ、の毎日ナノデ〜〜〜〜ス。



つづく

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