シロッパチのひょうたん記(5話)

ニャンタロウ兄ちゃんのこと(その2)


ニャンタロウ兄ちゃんを乗せた飛行機は、八丈島空港を飛び立ち羽田空港へ
向かって飛んでイッチマッタンデス。
ジェットの音はいつも聞いているので慣れてはいるけれど、
まさか、あんなものに乗るなんて・・・それもたった一人で・・・

ニャンタロウ兄ちゃんがいなくなったその夜、
旦那さんと女将さんは大層心配したそうデス。
「病気は治るのだろうか・・・」
「本当に帰って来てくれるのだろうか・・・」
「もしかして・・・イヤ、そんなことは・・・でも、もしや・・・」

人は心配事や悩み事があると食欲がなくナッチャウンデス。
ボクにはどうしてなのか分からないンデス。
心配することはあっても食欲がなくなることは絶対にないンデス。
ゴハンはいつものようにガツ、ガツ、腹いっぱい食べるンデス。
心配事でゴハンが食べられないなんて絶対に大損ナンデス。
でも・・・これ以上食べる話をすると旦那さんに叱られるので
この辺にしておきマス。



そして、横浜の金重病院に入院したニャンタロウ兄ちゃんはスタッフの皆さんの
手厚い看護を受けながら治療をすることが出来たンデス。
難しい病気であるのにもかかわらず引き受けてくださり、二週間後に島へ
帰ることが出来ると知ったとき、旦那さんと女将さんは大喜びしたソーデス。

元の生活に戻ったニャンタロウ兄ちゃん。
時々起こす発作には、病院から送ってもらう薬に助けられながら、
そしてニャンタロウ兄ちゃんを可愛がってくださったお客さんからは応援をもらいながら頑張って生き続けたンデス。
ボクたちが拾われてペンションで一緒に暮らすようになったのも、
丁度この頃だったンデス。

けれども、あんなに頑張ったニャンタロウ兄ちゃんもとうとう力尽き・・・
ボクたちの願いも叶わず、遠いところにイッチャッタンデス。

ボクたちに優しくしてくれたニャンタロウ兄ちゃん・・・ありがとう。

ボクたちに思い出を残してくれたニャンタロウ兄ちゃん・・・さようなら



つづく

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