シロッパチのひょうたん記(2話)

母の思い出(その1)

    


ボクがペンションで生活するようになったのは平成15年の10月デシタ。
ハッキリと記憶してませんが、ボクが生まれたのは15年8月だったと思いマス。
 それまでは野良で母と兄弟3匹でくらしてたンデス。
ペンションの近くでボク達を生み、育ててくれた母はとても優しく勇敢な母デシタ。



生まれて2ヶ月ほどになるある日。
乳だけでは腹を満たさなくなってきたボク達を引き連れて出歩くことになったのデス。
「恐る・オソル」見通しの悪い道を歩いていた時のことデシタ。

突然、目の前に車が現れたチマッタンデス。
ボクはビックリして一目散に草ムラに逃げ込んだのだが、妹は恐怖のあまりに、
身がすくみ、逃げ遅れチャッタンデス。
それを見ていた母は車の来る方に進み出て、道路の真ん中に立ちはだかり、
その車を止めたのデス。
そして、妹がなんとか逃げ込んだのを確認してから、母もその場を立ち去ったノデシタ。

車を運転していた人は母の行動に驚いたらしく、
しばらくの間車を止めて、ボク達の方を呆然と見ていたノデス。

そのあと、外の怖さと空腹に耐えながら「食べ物」を探し求めて歩き続けているうちに
、すっかり陽は落ちてシマッタデス。

母が「ネグラに帰るヨ。」とボク達を促し歩き始めたその時デシタ。
ライトをつけた車がボク達の方に向かってキチャッタンデス。
「エライコッチャ!」ライトの眩しさに目がくらみかけたが、
必死で竹ヤブの中に逃げ込みマシタ。
又もや、モタモタしている妹を見ていた母は、
今度は首をくわえて一目散に逃げ難をのがれたノデシタ。

車を止めた運転手は窓から顔を出し、
「何だ!昼間のネコじゃないか!」とつぶやいたノデス。
ボクは竹ヤブの中からそっと顔を上げ見たノデス。
「ボク達を驚かすとんでもないヤツ」の顔を・・・・・。

それは、何と、昼間の「アイツ」ではないか!!!

そして今、あの時の「アンチクショウ」がまさか旦那さんに
なろうとは夢にも思いませんデシタ。



また、次回お話しシマス。

つづく



inserted by FC2 system